【2024年9月最新版】 薬剤師の業務委託 とは?徹底解説

薬剤師の仕事といえば正社員か派遣社員というイメージが強いですが、実は「業務委託」という働き方もあるのをご存知ですか?
近年、働き方の多様化が進み、薬剤師も自分のスキルや経験を活かして、より自由なスタイルで働くことを選択できるようになっています。
しかし、業務委託では、雇用契約とは異なる責任やリスクも伴います。
この記事では、 薬剤師の業務委託 について、その仕組みや特徴、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。
あなたは、自分のスキルを活かして、より自由な働き方をしたいと考えていませんか?
業務委託という選択肢を検討する上で、この記事が役立つことを願っています!

目次

薬剤師の業務委託 の仕組みと特徴

業務委託は、会社で働くというより、個人事業主として、企業と対等な立場で仕事をする働き方です。

例えば、あなたが得意な料理を教える先生だとします。

  • 雇用契約の場合:料理教室に雇われ、決められた時間に決められたメニューを教えます。
  • 業務委託契約の場合:あなたは独立した先生として、依頼があれば、自宅やカフェなどで、好きなメニューを教えられます。

このように、業務委託では、自分のスキルや経験を活かし、自由なスタイルで働くことができます。

業務委託契約と雇用契約の違い

では、業務委託契約と、一般的な雇用契約はどう違うのでしょうか?

簡単に言うと、雇用契約は会社に雇われて働く、いわば「会社の歯車」のようなイメージです。
正社員は会社の指示に従って働き、その対価として毎月決まった給料をもらいます。

一方、業務委託契約は、「独立した職人」のようなイメージです。
多くは個人事業主として活動しており、依頼主に「この家具を作って」と依頼され、自分のペースで家具を作り、完成したら報酬を受け取ります。

では薬剤師の業務委託とはどんなものか?
例えば、あなたが病院で患者さんの服薬指導を行うとします。

  • 雇用契約の場合:病院の指示に従って、決められた時間に決められた内容を説明します。
  • 業務委託契約の場合:個人事業主として病院と契約し、説明の内容や時間などを自分で決められます。

このように、業務委託契約では、あなたは自分の裁量で仕事を進め、その成果に対して報酬を受け取ります。

契約形態雇用契約業務委託契約
契約相手会社と労働者会社と個人事業主
指示・命令会社の指示に従う自分で決められる
報酬給料(毎月決まった金額)業務委託料(成果報酬型)
労働時間会社が管理する自分で管理する
社会保険会社が加入義務を負う自分で加入する

薬剤師が業務委託として働く方法

薬剤師が業務委託として働くには、まず個人事業主になるための手続きが必要です。そして、業務委託契約を結ぶ相手を探します。薬剤師の業務委託では、主に調剤薬局やドラッグストア、病院、介護施設などで、服薬指導や薬の管理などを行います。最近では、患者さんの自宅に訪問して服薬指導を行うケースも増えています。

業務委託の働き方の選択肢

業務委託の魅力は、働き方を自由に選べる点にあります。 週に数日だけ、特定の曜日だけ、あるいは決まった時間帯だけ働くなど、自分のライフスタイルに合わせて働くことができます。 また、複数の企業と契約して、様々な業務を経験することも可能です。

薬剤師の業務委託におけるメリットとデメリット

ここまでの説明では、業務委託で働くことのメリットばかり説明してきましたので、いいところばかりに目が行くかもしれませんが、メリットだけでなくデメリットもいくつかあります。

業務委託は、時間に融通が利き、自分のペースで働けるという自由度の高さが魅力です。 その一方で、収入の安定や社会保障といった面では、雇用契約と比べて異なる点も多いため、メリットとデメリットをよく理解しておくことが重要です。

ここではそんなメリット・デメリットのうち、特に重要そうなものを3つづつ説明させていただきます。

業務委託の3つのメリット

  1. 時間の使い方が自由:業務委託の最大のメリットは、自分のライフスタイルに合わせて働けることです。 例えば、午前中は家事や趣味の時間にあて、午後から調剤薬局で働く、といった柔軟な働き方が可能になります。 病院勤務のように夜勤や緊急呼び出しといった負担も少ないため、子育て中の薬剤師や、自分のペースで働きたいという方に向いています。
  2. 報酬が高い:業務委託は、一般的に、病院や薬局に雇用されるよりも報酬が高い傾向にあります。 これは、企業側が社会保険料や福利厚生費などのコストを削減できるためです。 業務委託の薬剤師は、自身のスキルや経験を活かして、高い報酬を得るチャンスがあります。 特に、専門性の高いスキルや豊富な経験を持つ薬剤師は、高額な報酬で仕事を受注できる可能性があります。
  3. スキルアップ:業務委託として働くことで、様々な業務に携わることができるため、スキルアップを目指しやすい点もメリットです。 一つの病院や薬局で働くよりも、多様な環境や業務を経験することで、専門知識やスキルを深め、市場価値を高めることができます。 新しい分野に挑戦することで、薬剤師としてのキャリアの幅を広げることが期待できます。

知っておきたい業務委託の3つのデメリットとリスク

  1. 収入が不安定:業務委託は、仕事量や契約内容によって収入が変動します。 これは、依頼主の都合や、景気の影響を受けやすい働き方とも言えます。 そのため、安定した収入を得たいと考える人にとっては、注意が必要です。 例えば、繁忙期には多くの仕事を受注できても、閑散期には仕事が減り、収入が不安定になる可能性があります。 また、病気や怪我などで働けなくなった場合、収入が途絶えてしまうリスクもあります。
  2. 責任が大きい:業務委託は、自分の裁量で仕事を進める必要があるため、責任も大きくなります。 これは、業務遂行能力や、問題解決能力が求められる働き方とも言えます。 もしも、業務上でミスがあった場合、損害賠償責任を負う可能性も出てきます。 企業に雇用されている場合は、会社が責任を負うケースでも、業務委託の場合は、自分自身が責任を負わなければならないケースもあるため、注意が必要です。
  3. 社会保障がない:業務委託は、雇用契約ではないため、健康保険や厚生年金などの社会保障に加入できません。 自分で国民健康保険や国民年金に加入する必要があり、手続きや保険料の負担も自身で行う必要があります。 また、病気や怪我で働けなくなった場合の保障がないため、万が一の場合の備えも重要です。
    詳しくはこちらでも解説しております。

フリーランス薬剤師に必要なスキル

  1. 薬剤師としての専門知識・スキル:薬剤師として働く上で、薬に関する専門知識や調剤スキルは必須です。 これは、患者さんの安全を守る上でも、非常に重要な要素となります。 薬の作用や副作用、相互作用など、幅広い知識を常に学習し、最新の情報をアップデートしていく必要があります。
  2. コミュニケーション能力:患者さんや他の医療従事者と円滑にコミュニケーションをとる能力も重要です。 患者さんに対しては、わかりやすく丁寧な説明を心がけ、信頼関係を築くことが大切です。 他の医療従事者に対しては、スムーズな連携を図り、チーム医療に貢献していく姿勢が求められます。
  3. 自己管理能力: 業務委託として働く場合、自分で仕事量やスケジュールを管理する必要があり、計画性や責任感、そして、自己管理能力が求められます。 締め切りを守るのはもちろんのこと、体調管理も自己責任となるため、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。

もっと詳しくフリーランス薬剤師について知りたい方はこちら

業務委託を行う際の注意点と対策

業務委託で働くということは、あなたは企業と対等な立場で、自分の裁量で仕事を進めていく個人事業主になるということです。それは、自由の裏返しに、責任も大きくなることを意味します。

例えば、あなたが家のリフォームを依頼するとします。リフォーム会社に勤めている人に依頼する場合、何かトラブルがあっても会社が責任を持って対応してくれますよね。しかし、個人で仕事をしている人に依頼した場合、その人が責任を持って対応してくれるかどうかは、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

薬剤師の業務委託でも同じです。病院や薬局で働く場合は、何かトラブルがあった場合でも、病院や薬局が責任を負ってくれます。しかし、業務委託として働く場合は、あなた自身が責任を負うことになるケースが増えてきます。そのため、契約内容をよく理解し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。

契約書で確認すべき項目

業務委託契約を結ぶ際には、必ず書面で契約内容を確認し、不明な点があれば事前に質問することが重要です。口約束だけで済ませてしまうと、後々「言った、言わない」といったトラブルに発展する可能性があります。

契約書は、いわば、あなたと企業の間で結ばれる約束事であり、その内容があなたの権利と義務を守ることになります。

契約書で特に確認すべき項目は以下の点が挙げられます。

  • 業務内容: どのような業務をどの範囲まで行うのか、具体的に明記されているかを確認しましょう。
    • 例えば、「服薬指導」と一言で言っても、患者さんへの説明や指導、薬歴の記入、薬の在庫管理など、様々な業務が含まれます。「服薬指導」に具体的にどのような業務が含まれるのか、どこまでがあなたの責任となるのかを明確にしておく必要があります。
  • 報酬: 報酬額だけでなく、支払い時期や支払い方法(銀行振込や現金手渡しなど)、源泉徴収の有無についても確認が必要です。
    • 報酬は、労働の対価として受け取るお金のことです。報酬額が仕事に見合っているかだけでなく、いつ、どのように支払われるのかを確認しておくことも重要です。また、源泉徴収とは、所得税などをあらかじめ給料などから差し引いておく制度のことです。業務委託の場合、源泉徴収の有無は契約によって異なります。
  • 契約期間: いつからいつまでの契約なのか、更新の有無や更新する場合の条件なども確認しましょう。
    • 契約期間とは、その契約がどれだけの期間有効なのかということです。期間の定めがない契約もありますが、多くの場合、契約期間が定められています。期間満了後も働き続けたい場合は、更新の有無や更新の条件などを事前に確認しておきましょう。
  • 経費負担: 業務に必要な経費(交通費や消耗品費など)はどちらが負担するのか、実費精算する場合のルールなども確認しましょう。
    • 経費とは、業務を行うために必要な費用のことです。交通費や文房具代などが該当します。これらの経費を誰が負担するのか、実費精算する場合の手続きはどうすればいいのかなどを事前に確認しておきましょう。
  • 損害賠償: 業務上のミスで損害が発生した場合、誰がどのように責任を負うのか、損害賠償保険への加入義務があるかなども確認しましょう。
    • 損害賠償とは、故意または過失によって他人に損害を与えた場合に、その損害を賠償する義務のことです。業務委託契約の場合、業務上のミスで損害が発生した場合、あなた自身が損害賠償責任を負う可能性があります。損害賠償保険への加入義務があるかどうかなども含めて、事前に確認しておきましょう。
  • 契約解除: どのような場合に契約を解除できるのか、契約解除する場合の通知期間や違約金なども確認しましょう。
    • 契約解除とは、文字通り、契約を途中で終わらせることです。契約期間中に、契約内容に違反した場合や、やむを得ない事情で業務を継続できなくなった場合などに、契約が解除されることがあります。どのような場合に契約解除が可能なのか、契約解除する場合のルールなどを事前に確認しておきましょう。

業務上のトラブルを回避するためのポイント

業務上のトラブルは、あなただけでなく、企業側にとっても大きな損失となります。未然にトラブルを回避するために、以下のポイントを心がけましょう。

  • 報告・連絡・相談を徹底する: 業務の進捗状況や問題点などは、こまめに依頼先に報告・連絡・相談しましょう。
    • 報告・連絡・相談は、ビジネスの基本であり、信頼関係を築く上でも非常に重要です。何か問題が発生した場合でも、早期に報告・連絡・相談することで、適切な対応を取り、被害を最小限に抑えられる可能性が高まります。
  • 指示・確認を仰ぐ: 自分自身で判断できないことや不安なことがあれば、遠慮せずに依頼先に指示や確認を仰ぎましょう。
    • 業務を進める中で、判断に迷う場面や、指示内容が不明瞭な場合があります。そのような場合は、自己判断で進めずに、必ず依頼先に指示や確認を仰ぎましょう。
  • 記録を残す: 口頭でのやり取りだけでなく、メールなどの記録に残すことで、後々のトラブル防止に役立ちます。
    • 口約束は、言った言わないのトラブルになりがちです。重要なやり取りは、メールなどで記録を残すように心がけましょう。
  • 専門知識・スキルを磨く: 薬剤師としての専門知識やスキルを常に磨き、質の高いサービスを提供できるよう努めましょう。
    • 医療現場は常に進歩しています。常に最新の知識や技術を習得し、患者さんに安心・安全な医療を提供できるよう努めましょう。
  • 関係性を築く: 依頼先との良好な人間関係を築くことは、円滑な業務遂行に繋がります。
    • 良好な人間関係は、円滑なコミュニケーションを生み出し、業務をスムーズに進める上で非常に重要です。日頃からコミュニケーションを密にとり、信頼関係を築いていきましょう。

税務や保険関連の注意事項

業務委託として働く場合、税金や保険は自分で管理する必要があります。

  • 確定申告: 業務委託で得た収入は、原則として確定申告が必要です。確定申告の手続きや必要書類については、税務署に問い合わせるか、税理士に相談しましょう。
    • 確定申告とは、1年間の所得と税金を計算し、税務署に申告することです。会社員の場合、年末調整で済むケースが多いですが、業務委託で働く場合は、原則として自分で確定申告を行う必要があります。
  • 社会保険: 業務委託は、健康保険や年金などの社会保険に加入できない場合があります。国民健康保険や国民年金に加入する、もしくは任意で加入できる保険などを検討しましょう。
    • 社会保険とは、病気、怪我、出産、死亡、老後など、生活上の様々なリスクに備えるための公的な保険制度です。会社員の場合、会社が社会保険料を負担してくれますが、業務委託の場合、自分で保険料を負担する必要があります。
  • 損害賠償保険: 業務上のミスで損害が発生した場合に備え、損害賠償保険に加入しておくことをおすすめします。
    • 損害賠償保険とは、業務上のミスによって他人に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合に、保険金が支払われる保険です。業務委託契約の場合、業務上のミスで損害が発生した場合、あなた自身が損害賠償責任を負う可能性があるため、損害賠償保険に加入しておくと安心です。

業務委託は、自由度が高く、自分のペースで仕事ができるというメリットがある一方で、責任も大きくなります。契約内容や注意点などをしっかり確認し、トラブルなく安心して働けるように準備しておきましょう。

税金については個人事業主ならではの節税策もあります。
もっと詳しく知りたいかたは、こちらの記事も是非チェックしてみてください。

まとめ

薬剤師の業務委託は、病院や薬局に雇用されるのではなく、個人事業主として業務を請け負う働き方です。時間の使い方が自由で、報酬が高い、スキルアップしやすいなどのメリットがありますが、収入が不安定、責任が大きい、社会保障がないなどのデメリットも存在します。

業務委託契約を結ぶ際には、業務内容、報酬、契約期間、経費負担、損害賠償、契約解除などの項目を契約書で確認することが重要です。トラブルを回避するためには、報告・連絡・相談を徹底し、指示・確認を仰ぎ、記録を残すようにしましょう。

また、税金や保険は自分で管理する必要があり、確定申告、社会保険、損害賠償保険などの手続きや加入が必要となります。業務委託は、自由と責任が伴う働き方なので、メリットとデメリットをよく理解し、契約内容をよく確認した上で、安心して働けるように準備することが大切です。

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この記事を書いた人

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