【2024年9月最新版】 フリーランス薬剤師 の入るべき健康保険とは?
フリーランス薬剤師 として活動する中でよく挙がる不安はやはり健康についてのこと。
多少の体調不良なら有給休暇や、手厚い会社であれば病気休暇を取れば、その間も給与は支払われていて、万が一にも解雇されることなんて無い正社員と比べて、フリーランスは体調不良になるだけで生活が一変するリスクがあります。
だからこそこまめに病院には通いたいところですが、ここで問題になるのが健康保険。
フリーランスは、確定申告だけでなく健康保険も自分で吟味し手続きを行う必要があります。
簡単そうに思えて実際に当事者になってみると、 「どんな保険を選べば良いの?」「手続きは面倒じゃない?」といったお悩みに直面する方も多いです。
この記事では、フリーランス薬剤師が加入できる健康保険の種類、それぞれのメリットやデメリットをわかりやすく解説します。 あなたにぴったりの健康保険を見つけ、安心してフリーランス生活をスタートさせましょう!
フリーランス薬剤師が加入できる健康保険の種類とメリット
フリーランス薬剤師が加入できる健康保険は、大きく分けて以下の3つの種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分に最適なものを選びましょう。
- 任意継続被保険者制度
- 会社員時代に入っていた健康保険を、退職後も継続できる制度です。
- 例えば、以前は大手製薬会社に勤務していて、充実した健康保険組合のサービスを受けていたとします。退職後も、そのサービスを継続したい場合に選択できます。
- メリットは、会社員時代と変わらない、使い慣れた健康保険組合のサービスを継続できる点や、国民健康保険よりも保険料が安い場合がある点です。
- 加入資格は、退職前の2ヶ月間以上、継続して健康保険に加入していた人です。
- 注意点として、加入期間は2年間と決まっており、更新はできません。2年後は、別の健康保険への加入が必要になります。
- 国民健康保険
- 市区町村が運営する健康保険制度で、主に自営業者やフリーランス、無職の人などが加入します。
- メリットは、誰でも加入できるという点です。健康状態や過去の加入保険に関わらず、加入を希望すれば基本的に加入できます。
- 保険料は、前年の所得や加入する市区町村によって異なります。そのため、住んでいる地域や収入によって、保険料が変わることがあります。
- 薬剤師国民健康保険組合(薬剤師国保)
- 薬剤師や薬局従事者のための健康保険組合です。
- メリットは、薬剤師に特化したサービスや給付を受けられる点、保険料が国民健康保険よりも安い場合がある点です。
- 加入資格は、薬剤師の資格を持ち、薬剤師業務に従事している人です。薬剤師としての働き方をしていれば、加入を検討できます。
どの健康保険に加入するのが良いかは、個々の状況によって異なります。例えば、以前加入していた健康保険組合の保険料が安かったり、充実したサービスを受けられていた場合は、任意継続被保険者制度を選ぶのが良いでしょう。
一方、保険料を安く抑えたい場合は、国民健康保険や薬剤師国保を検討する必要があります。
健康保険加入の必要性とそのメリット
健康保険に加入するメリットは、病気やケガをしたときに、医療費の負担を軽減できることです。健康保険に加入していると、病院にかかった際に、医療費の自己負担割合は原則3割となります。
例えば、病院の診察料が1万円だった場合、健康保険に加入していれば、自己負担額は3,000円で済みます。しかし、健康保険に加入していない場合は、1万円全額を自分で支払わなければなりません。
また、高額な医療費がかかった場合には、高額療養費制度を利用することで、自己負担額をさらに軽減することもできます。高額療養費制度は、医療費の自己負担額が高額になった場合に、一定額を超えた分が払い戻される制度です。
健康保険に加入することは、病気やケガのリスクに備えるだけでなく、安心して医療を受けられるためのセーフティネットとなります。
任意継続について知ろう
会社員や公務員として働いている間は、会社の健康保険や共済組合に加入していることがほとんどです。これは、毎月のお給料から保険料が天引きされる代わりに、病院にかかった際の医療費負担を軽くしてくれるというシステムです。
例えば、毎月3万円の保険料を会社と折半しているとしましょう。会社員であれば、そのうちの1万5千円を自分で負担し、残りの1万5千円は会社が負担してくれます。しかし、フリーランスになると、この3万円を全額自分で負担しなければなりません。
任意継続の制度内容と加入条件
では、会社員や公務員を辞めてフリーランスになった場合は、健康保険はどうなるのでしょうか?安心してください。会社を辞めても、以前加入していた健康保険の制度をそのまま利用できる「任意継続被保険者」という制度があります。
任意継続は、会社を辞めた後も、20日以上健康保険に加入していた人なら誰でも利用できます。例えるなら、以前の会社の健康保険証を、フリーランスになっても使い続けられるようなイメージです。
例えば、以前は会社員として、会社の健康保険を使って大きな病院でも気軽に受診できていたとします。任意継続を利用すれば、フリーランスになっても、その病院に、以前と変わらない自己負担割合で受診し続けることができます。
任意継続の保険料と負担額について知る
任意継続の保険料は、会社員時代とは異なり、自分で支払う必要があります。毎月の保険料は、以前の会社で支払っていた金額とほぼ同じですが、会社員時代は保険料の半分を会社が負担してくれていたのに対し、任意継続の場合は、全額を自分で負担する必要があるという点に注意が必要です。
会社員時代は給料から天引きされていたので、あまり意識していなかったかもしれませんが、いざフリーランスになって全額を自分で支払うとなると、大きな負担に感じるかもしれません。
任意継続の加入期間と手続き方法を理解する
任意継続に加入できる期間は、会社を辞めた日から20日以内と決められています。もし、この期間を過ぎてしまうと、任意継続に加入することができなくなってしまいます。
例えば、3月末で会社を辞めて、次の仕事が決まるまでの間、任意継続に加入して健康保険証を使いたいと考えている人がいるとします。この場合、4月20日までに手続きを済ませないと、任意継続に加入できず、健康保険証が使えなくなってしまう可能性があります。
加入手続きは、退職した会社を通じて行います。必要な書類は、会社によって異なりますので、退職前に確認しておきましょう。
薬剤師国保と国民健康保険の比較
次に、任意継続の以外の選択肢である「薬剤師国保」と「国民健康保険」を比較し、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説していきます。
薬剤師国保の制度内容と加入資格を把握する
薬剤師国保は、薬剤師が自分たちで運営している、いわば「薬剤師のための健康保険」です。国民健康保険に比べて保険料が安く、充実した保障内容が魅力です。
薬剤師国保に加入するには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 日本国内に住んでいること:これは当然ですね。海外在住では加入できません。
- 薬剤師免許を持っていること:薬剤師でなければ加入できません。
- 薬剤師として働いている、または、これから働く予定であること:例えば、薬剤師免許を持っているものの、現在は別の仕事をしている場合は加入できません。
- 他の健康保険に加入していないこと:例えば、配偶者の扶養に入っている場合は加入できません。
例えば、フリーランス薬剤師として独立し、他の健康保険に加入していない場合は、薬剤師国保に加入することができます。
薬剤師国保の保険料と給付内容を調べる
薬剤師国保の保険料は、住んでいる地域や収入によって異なりますが、一般的には国民健康保険よりも安い傾向にあります。これは、薬剤師という職業柄、健康リスクが低く、医療費の支出が少ないと見込まれているためです。
薬剤師国保の保険料は、前年の収入を元に計算されます。例えば、前年の収入が400万円だった場合、月額約2万円の保険料となります。
薬剤師国保に加入すると、病気やケガをした時の医療費が軽減されるだけでなく、出産や死亡など、様々なライフイベントにも対応した給付を受けることができます。主な給付内容は以下の通りです。
給付の種類 | 内容 |
療養の給付 | 入院費や手術費など、医療費の自己負担分を軽減 |
出産育児一時金 | 出産した際に、一時的に費用を支給(令和5年4月からは50万円) |
傷病手当金 | 病気やケガで働けなくなった場合に、収入の一部を補償 |
出産手当金 | 出産のために仕事を休んだ場合に、収入の一部を補償 |
葬祭費 | 加入者や家族が亡くなった場合に、葬儀費用の一部を支給 |
このように、薬剤師国保は、手厚い保障内容が魅力の制度と言えるでしょう。
薬剤師国保と国民健康保険の違いを理解する
薬剤師国保と国民健康保険の大きな違いは、運営主体と保険料です。薬剤師国保は薬剤師会が運営しており、国民健康保険は市町村が運営しています。また、薬剤師国保は、国民健康保険よりも保険料が安い点が魅力です。
項目 | 薬剤師国保 | 国民健康保険 |
運営主体 | 薬剤師会 | 市町村 |
保険料 | 国民健康保険より安い傾向 | 住んでいる地域や所得によって異なる |
給付内容 | ほぼ同じ | ほぼ同じ |
薬剤師国保と国民健康保険のどちらが適しているかは、個々の状況によって異なります。例えば、収入が安定している場合は、保険料が安い薬剤師国保の方がお得な場合があります。一方、収入が不安定な場合は、国民健康保険の方が安心できる場合があります。
それぞれの保険制度をよく理解し、自分に合った保険を選びましょう。
まとめ
フリーランス薬剤師が加入できる健康保険には、任意継続被保険者制度、国民健康保険、薬剤師国保の3種類があります。
任意継続被保険者制度は、会社員時代に加入していた健康保険を退職後も継続できる制度です。会社員時代と変わらないサービスを受けられる一方、2年間しか加入できません。
国民健康保険は、市区町村が運営する健康保険で、誰でも加入できます。保険料は、前年の所得や住んでいる地域によって異なります。
薬剤師国保は、薬剤師が運営する健康保険組合で、薬剤師に特化したサービスが受けられます。保険料は国民健康保険よりも安く、充実した給付内容が魅力です。
どの保険が最適かは、個々の状況によって異なります。以前の健康保険組合のサービスを継続したい場合は任意継続、保険料を安く抑えたい場合は国民健康保険や薬剤師国保がおすすめです。